[ステップ1]親子で科学 第2回 「水を吸う高分子」 もうひとつ質問です。
[ステップ1] 親子で科学 第2回 「水を吸う高分子」(10/31開催、廣瀬卓司先生)の講義内容と関連して、参加者の方から質問がありました。先生からの回答と合わせて公開いたします。
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質問—————————–
受信日時:2009/11/08 10:51
タイトル:プラスチックについて
質問内容:ペットボトルをリサイクルすると洋服になると聞いたのですが、生分解性プラスチックでも同じことは起こるのですか。また、洗濯してもとけませんか。
回答—————————–
送信日時:2009/11/10
回答者:廣瀬卓司
広く高分子に関心を持ってくれてうれしいです。これからもいろいろな科学に興味を持って下さい。
さて、ペットボトルに使われている高分子(プラスチック)は、ポリエステルと呼ばれ、以前から衣類に使われていました。
それではなぜわざわざ「ペットボトルをリサイクルすると洋服になる」と言われるのか、疑問がわきます。それは、ペットボトルには最も上質の高分子が使われるからです。普通、ペットボトルには飲料水など食べ物を入れるので、衛生上もきれいなものでなければなりません。そのため、現在はリサイクルしたペットボトルをもう一度ペットボトルとして使わないことになっています。しかし、服にするときにはそこまで衛生面に注意を払う必要はないので、ペットボトルを融かして、糸にして、洋服を作ることができます。当然、省資源になります。
高分子は単位となる分子が数多く(場合によってですが数百から数万個が)鎖のようにつながっているものです。リサイクルするときに高温で融かしたりすると、高分子の分子そのものが変化して鎖が途中で切れたりして、材料としての性能が悪い分子に変わってしまうことがあります。こうなると、材質が引っ張りに弱かったりすることもあり、柔らかいプラスチックとしてしか使えません。
生分解プラスチックで洋服は作られていますが、飲料用のボトルにはまだ使われていないと思います。それは、多くの生分解性プラスチックは柔らかいからです。ですから、最初は洋服でも下着やTシャツ、女性のドレスなどに使われました。それでも、洗濯で簡単に溶けたり、分解したりしないような工夫がされています。(熱には弱いために、アイロンなどをかけるときには注意が必要だそうです。)最近では、パソコンなどの電子機器にも生分解性プラスチックが使われるようになっています。しかし、いろいろな工夫をこらした高分子を飲料用のボトルには使用できません。
生分解性プラスチックはその製品が自然界に捨てられたときに、土中や水中の微生物が分解できることが第一の条件です。ですから、今のところリサイクルすることは予定されていません。微生物がつくってくれたプラスチックを、微生物が分解してくれれば資源がなくなることはない、と考えられているからです。また、生分解性プラスチックで作られた製品がまだ多くないこともリサイクルされない理由になります。ペットボトルのように大量に、同じような品質の製品をリサイクルしないと効率的でなく、リサイクルした製品が非常に高価になってしまうからです。
(廣瀬卓司)
回答者:永澤 明
(補足)「とける」には2つある?
ご質問で「とけませんか」となっている「とける」ですが、回答では漢字を使いました。2種類の「とける」があります。辞書を引くと「融ける」と「溶ける」で、同じように使っていますが…
「融ける」は難しくは「融解(ゆうかい)する」で、英語ではmeltまたはfuseです。固体を液体にすることで、温度を上げると起こります。その境目の温度が「融点(ゆうてん)」です。氷の融点は0℃です。
「溶ける」は難しくは「溶解(ようかい)する」で、英語ではdissolveです。固体や液体や気体が液体に加わり、それが見えなくなるまで完全に混ぜ合わさることです。こうしてできた液体が「溶液(ようえき)」です。例えば,食塩を水に溶かした溶液が食塩水です。どのくらいの量までその物質がその液体に溶けるかを「溶解度(ようかいど)」といいます。固体はふつう温度を上げると溶解度が大きく、気体はふつう温度を下げると溶解度が小さくなります。溶解度については、2009年8月1日の「ステップ1体験 一日大学生」でも実験しました。
そうすると、製鉄所にある「溶鉱炉」は字が違うのではないでしょうか。確かにそのように思えます。昔は「熔鉱炉」と書いて、これは融かすという意味でした。しかし、「溶」には混ぜ合わせるという意味も含まれているので,粉などの固形物を高温で融かして一体にすることを「溶融(ようゆう)」と言います。その意味では問題ないのかも知れません。
なお、「梳ける」は髪が櫛(くし)などでそろえられること、「解ける」は問題に答えが出されることです。ですから、質問に答えることは「回答」、問題を解いた答えは「解答」です。こうしてみると「とける」には4つありましたね。皆さんももっと探してみてください。 (永澤 明)